動詞・文法表現
複合動詞、助動詞、助詞では境界の規則が異なります。一語として保持する表現と、文法上の構成要素に分ける表現を、口語・文語も含めて説明します。
比較条件と読み方は MeCab との違い、品詞の付け方は POS 分類の違いを参照してください。
動詞と助動詞
複合動詞
連用形の動詞語幹に続く補助動詞は、複合動詞として結合されます。
対応するV2要素: 込む、出す、続く、返す、合う、直す、切る、上がる、抜く、こもる、続ける、つける、替える、合わせる、上げる、下げる、掛ける、入れる 等(漢字・かな表記合わせて300以上)
「過ぎる」「かねる」のような文法化した補助要素は意図的に結合しません — 補助動詞の分割を参照してください。
希望の「たがる」
希望を外から観察して述べる助動詞「たがる」は、活用形を含めて単一の助動詞トークンとして扱います。
補助動詞の分割
文法化した補助要素 — 過ぎる(過度)、かねる(不可能)、そびれる(機会逸失)、尽くす(完遂) — は本動詞から分割します。Suzume は拡張品詞で補助要素としての役割を示します。公開 API の品詞は 過ぎる 系では VERB、下記の他の補助要素では AUX になります。MeCab 自身の扱いも辞書によって揺れがあり、結合される組み合わせ(飲み過ぎ)と、非自立サブカテゴリで分割される組み合わせがあります。
卑罵の「やがる」
卑罵の補助動詞「やがる」は、動詞の連用形の後で一語として保持します。この形を IPA 辞書は「やる」と「がる」の一部に分けますが、Suzume は原形を「やがる」、拡張品詞を AUX_卑罵 とします。
否定の「ずに」
否定の助動詞「ず」と後続する助詞「に」は、文法上の境界を保って別々のトークンになります。
生産的な否定の分割
閉じた語彙リストのナイ形容詞とは異なり、生産的な「語幹+ない」の組み合わせは分割し、語幹を検索可能に保ちます。
文語・古風な語尾
文語の活用も現代語と同じ方針で文法境界を保ちます。否定、推量・当為、過去・完了、禁止、命令の各系列を扱います。例を挙げます。
- 文語否定の「ぬ」は未然形から分割: 知らぬ → 知ら+ぬ(
AUX) - 文語的な「ん」も同様に分割: 乗り越えん → 乗り越え+ん(
AUX) - 文語過去の「き」も独立した助動詞境界を保つ: 行かざりき → 行か+ざり+き
推量の「らむ」は動詞の終止形に続きます。IPA 辞書が別の名詞と動詞として解析する場合も、Suzume は動詞と助動詞の境界を保ちます。
「美しかり」のような文語形容詞の連用形は活用形を一語として保持し、現代語の原形を返します。後続する過去の助動詞「けり」は分割します。
口語の助動詞形
過去の推量形、母音が融合した願望形、意志形でも、助動詞の境界を保ちます。
| 入力 | Suzume |
|---|---|
| 食べたろう | 食べ(VERB) / たろ(AUX, lemma: た) / う(AUX) |
| 食べてえ | 食べ(VERB) / てえ(AUX, lemma: たい) |
| いこう | いこ(VERB, lemma: いく) / う(AUX) |
| ゆこう | ゆこ(VERB, lemma: ゆく) / う(AUX) |
機能語と文法上の境界
閉じた複合助詞
1つの助詞として機能する閉じた表現は、全体を1トークンに保ちます。
採用した IPA 辞書では「と共に」や、文脈によっては「につれて」も最初から 1 トークンになるため、この比較条件では境界差として掲載しません。別の辞書では分割される場合があります。
一語扱いの機能語
固定的な機能語は、辞書駆動の解析で断片化される場合でも一語として保持します。
「〜のついでに」を表す「がてら」は1つの助詞、口語の「そんなら」は1つの接続詞です。
生産的な機能語の連鎖
生産的な構文は、綴り全体を固定した機能語とせず、内部の動詞・助詞境界を保ちます。
「をもって」も同じ規則で「を / もっ / て」になります。生産的な動詞境界を含まない閉じた表現は、上の「や否や」のように全体を保ちます。
節末の助詞に続く引用の「って」も、独立した助詞として保ちます。行くかって は 行く(VERB) / か(PARTICLE) / って(PARTICLE) になります。
副詞的名詞+助詞
比較辞書が1つの機能語として語彙化する一部の並びを、名詞+助詞のまま保持します。
先頭の固定単位
連体詞「わが」は後続の名詞から分割します。
お・ご接頭辞
Suzume はお/ごの敬語接頭辞を名詞から分割しますが、不可分な語彙の場合は結合を維持します。
分割 — 分離可能な接頭辞
Suzume が一語に保つ例外には、お金、お前、おかず、おでん、おもちゃ、おすすめ、おいら、おっさん、お疲れ様、おいで、および家族語(お母さん、お父さん、お兄ちゃん、お姉さん、おじさん、おばさん、おじいさん、おばあさん等)があります。比較対象の MeCab も多くを一語に保ちますが、「お兄ちゃん」「お姉さん」は「お」の後で分割します。
タリ活用副詞
タリ活用の副詞語幹に「と」が続く場合、単一の副詞に結合されます。
対象語幹: 泰然、堂々、悠々、淡々、粛々、颯爽、毅然、漫然、茫然、呆然、唖然、愕然、断然、歴然、整然、雑然、騒然、憮然、黙然、昂然、厳然
漢語+「として」
「依然として」のような固定したタリ副詞構文は、MeCab では1つの副詞です。Suzume は副詞形と「する」の活用を分割します。「名詞として」のような生産的な表現は、どちらの解析器でも文法境界を持ちます。
述語と代名詞
コピュラ否定
名詞述語の後では、「じゃ」をコピュラ、「ない」を形容詞として扱います。コピュラの文脈を明示するため、比較には名詞側も含めます。
使役受身
MeCab は五段動詞の未然形+使役「さ」を1トークンに結合する場合があります。Suzume はこの不整合を正規化します。
形式名詞「ふう」
指示連体詞に続く「ふうに」は、連体詞・形式名詞・助詞という文法単位に分割します。
不定の「か」
疑問代名詞に付く不定の「か」は代名詞から分割し、その後の存在動詞「いる」は本動詞として扱います。