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動詞・文法表現 ​

複合動詞、助動詞、助詞では境界の規則が異なります。一語として保持する表現と、文法上の構成要素に分ける表現を、口語・文語も含めて説明します。

比較条件と読み方は MeCab との違い、品詞の付け方は POS 分類の違いを参照してください。

動詞と助動詞 ​

複合動詞 ​

連用形の動詞語幹に続く補助動詞は、複合動詞として結合されます。

入力食べ続ける
MeCab
食べ続ける
2トークン
Suzume
食べ続ける動詞VERB
1トークン

対応するV2要素: 込む、出す、続く、返す、合う、直す、切る、上がる、抜く、こもる、続ける、つける、替える、合わせる、上げる、下げる、掛ける、入れる 等(漢字・かな表記合わせて300以上)

「過ぎる」「かねる」のような文法化した補助要素は意図的に結合しません — 補助動詞の分割を参照してください。

希望の「たがる」 ​

希望を外から観察して述べる助動詞「たがる」は、活用形を含めて単一の助動詞トークンとして扱います。

入力食べたがる
MeCab
食べたがる
3トークン
Suzume
食べ動詞VERBたがる助動詞AUX→たがる
2トークン

補助動詞の分割 ​

文法化した補助要素 — 過ぎる(過度)、かねる(不可能)、そびれる(機会逸失)、尽くす(完遂) — は本動詞から分割します。Suzume は拡張品詞で補助要素としての役割を示します。公開 API の品詞は 過ぎる 系では VERB、下記の他の補助要素では AUX になります。MeCab 自身の扱いも辞書によって揺れがあり、結合される組み合わせ(飲み過ぎ)と、非自立サブカテゴリで分割される組み合わせがあります。

入力飲み過ぎた
MeCab
飲み動詞過ぎ動詞・非自立た助動詞
3トークン
Suzume
飲み動詞VERB過ぎ動詞VERB→過ぎるた助動詞AUX
3トークン
入力わかりかねる
MeCab
わかり動詞かねる動詞・非自立
2トークン
Suzume
わかり動詞VERB→わかるかねる助動詞AUX
2トークン
入力言いそびれた
MeCab
言いそびれ動詞た助動詞
2トークン
Suzume
言い動詞VERB→言うそびれ助動詞AUX→そびれるた助動詞AUX
3トークン
入力食べ尽くす
MeCab
食べ動詞尽くす動詞・非自立
2トークン
Suzume
食べ動詞VERB尽くす助動詞AUX
2トークン

卑罵の「やがる」 ​

卑罵の補助動詞「やがる」は、動詞の連用形の後で一語として保持します。この形を IPA 辞書は「やる」と「がる」の一部に分けますが、Suzume は原形を「やがる」、拡張品詞を AUX_卑罵 とします。

入力食べやがった
MeCab
食べ動詞や動詞・非自立→やるがっ動詞・接尾→がるた助動詞
4トークン
Suzume
食べ動詞VERB→食べるやがっ助動詞AUX→やがるた助動詞AUX
3トークン

否定の「ずに」 ​

否定の助動詞「ず」と後続する助詞「に」は、文法上の境界を保って別々のトークンになります。

入力食べずに
MeCab
食べずに
3トークン
Suzume
食べ動詞VERBず助動詞AUX→ぬに助詞PARTICLE
3トークン

生産的な否定の分割 ​

閉じた語彙リストのナイ形容詞とは異なり、生産的な「語幹+ない」の組み合わせは分割し、語幹を検索可能に保ちます。

入力揺るぎない
MeCab
揺るぎない形容詞
1トークン
Suzume
揺るぎ名詞NOUNない形容詞ADJ
2トークン
入力やりきれない
MeCab
やりきれない形容詞
1トークン
Suzume
やりきれ動詞VERB→やりきれるない助動詞AUX
2トークン
入力やむを得ない
MeCab
やむを得ない形容詞
1トークン
Suzume
やむ動詞VERBを助詞PARTICLE得動詞VERB→得るない助動詞AUX
4トークン

文語・古風な語尾 ​

文語の活用も現代語と同じ方針で文法境界を保ちます。否定、推量・当為、過去・完了、禁止、命令の各系列を扱います。例を挙げます。

  • 文語否定の「ぬ」は未然形から分割: 知らぬ → 知ら+ぬ(AUX)
  • 文語的な「ん」も同様に分割: 乗り越えん → 乗り越え+ん(AUX)
  • 文語過去の「き」も独立した助動詞境界を保つ: 行かざりき → 行か+ざり+き

推量の「らむ」は動詞の終止形に続きます。IPA 辞書が別の名詞と動詞として解析する場合も、Suzume は動詞と助動詞の境界を保ちます。

入力行くらむ
MeCab
行名詞くらむ動詞
2トークン
Suzume
行く動詞VERBらむ助動詞AUX
2トークン

「美しかり」のような文語形容詞の連用形は活用形を一語として保持し、現代語の原形を返します。後続する過去の助動詞「けり」は分割します。

入力美しかりけり
MeCab
美し形容詞→美しいかり動詞→かりるけり助動詞
3トークン
Suzume
美しかり形容詞ADJ→美しいけり助動詞AUX
2トークン

口語の助動詞形 ​

過去の推量形、母音が融合した願望形、意志形でも、助動詞の境界を保ちます。

入力Suzume
食べたろう食べ(VERB) / たろ(AUX, lemma: た) / う(AUX)
食べてえ食べ(VERB) / てえ(AUX, lemma: たい)
いこういこ(VERB, lemma: いく) / う(AUX)
ゆこうゆこ(VERB, lemma: ゆく) / う(AUX)

機能語と文法上の境界 ​

閉じた複合助詞 ​

1つの助詞として機能する閉じた表現は、全体を1トークンに保ちます。

入力や否や
MeCab
や助詞否や名詞
2トークン
Suzume
や否や助詞PARTICLE
1トークン

採用した IPA 辞書では「と共に」や、文脈によっては「につれて」も最初から 1 トークンになるため、この比較条件では境界差として掲載しません。別の辞書では分割される場合があります。

一語扱いの機能語 ​

固定的な機能語は、辞書駆動の解析で断片化される場合でも一語として保持します。

入力散歩がてら
MeCab
散歩がてら
3トークン
Suzume
散歩名詞NOUNがてら助詞PARTICLE
2トークン
入力そんなら
MeCab
そんなら
2トークン
Suzume
そんなら接続詞CONJ
1トークン

「〜のついでに」を表す「がてら」は1つの助詞、口語の「そんなら」は1つの接続詞です。

生産的な機能語の連鎖 ​

生産的な構文は、綴り全体を固定した機能語とせず、内部の動詞・助詞境界を保ちます。

入力とすれば
MeCab
とすれば接続詞
1トークン
Suzume
と助詞PARTICLEすれ動詞VERB→するば助詞PARTICLE
3トークン

「をもって」も同じ規則で「を / もっ / て」になります。生産的な動詞境界を含まない閉じた表現は、上の「や否や」のように全体を保ちます。

節末の助詞に続く引用の「って」も、独立した助詞として保ちます。行くかって は 行く(VERB) / か(PARTICLE) / って(PARTICLE) になります。

副詞的名詞+助詞 ​

比較辞書が1つの機能語として語彙化する一部の並びを、名詞+助詞のまま保持します。

入力次に
MeCab
次に接続詞
1トークン
Suzume
次名詞NOUNに助詞PARTICLE
2トークン
入力後で行く
MeCab
後で副詞行く
2トークン
Suzume
後名詞NOUNで助詞PARTICLE行く動詞VERB
3トークン

先頭の固定単位 ​

連体詞「わが」は後続の名詞から分割します。

入力わが国
MeCab
わが国名詞
1トークン
Suzume
わが連体詞DET国名詞NOUN
2トークン

お・ご接頭辞 ​

Suzume はお/ごの敬語接頭辞を名詞から分割しますが、不可分な語彙の場合は結合を維持します。

入力お茶
MeCab
お茶名詞
1トークン
Suzume
お接頭辞PREFIX茶名詞NOUN
2トークン

分割 — 分離可能な接頭辞

Suzume が一語に保つ例外には、お金、お前、おかず、おでん、おもちゃ、おすすめ、おいら、おっさん、お疲れ様、おいで、および家族語(お母さん、お父さん、お兄ちゃん、お姉さん、おじさん、おばさん、おじいさん、おばあさん等)があります。比較対象の MeCab も多くを一語に保ちますが、「お兄ちゃん」「お姉さん」は「お」の後で分割します。

タリ活用副詞 ​

タリ活用の副詞語幹に「と」が続く場合、単一の副詞に結合されます。

入力堂々と
MeCab
堂々と
2トークン
Suzume
堂々と副詞ADV
1トークン

対象語幹: 泰然、堂々、悠々、淡々、粛々、颯爽、毅然、漫然、茫然、呆然、唖然、愕然、断然、歴然、整然、雑然、騒然、憮然、黙然、昂然、厳然

漢語+「として」 ​

「依然として」のような固定したタリ副詞構文は、MeCab では1つの副詞です。Suzume は副詞形と「する」の活用を分割します。「名詞として」のような生産的な表現は、どちらの解析器でも文法境界を持ちます。

入力依然として
MeCab
依然として副詞
1トークン
Suzume
依然と副詞ADVし動詞VERBて助詞PARTICLE
3トークン

述語と代名詞 ​

コピュラ否定 ​

名詞述語の後では、「じゃ」をコピュラ、「ない」を形容詞として扱います。コピュラの文脈を明示するため、比較には名詞側も含めます。

入力本じゃない
MeCab
本名詞じゃ助詞ない助動詞
3トークン
Suzume
本名詞NOUNじゃ助動詞AUX→だない形容詞ADJ
3トークン

使役受身 ​

MeCab は五段動詞の未然形+使役「さ」を1トークンに結合する場合があります。Suzume はこの不整合を正規化します。

入力飲まされた
MeCab
飲まさ動詞れ動詞・接尾た助動詞
3トークン
Suzume
飲ま動詞VERB→飲むさ助動詞AUX→すれ助動詞AUXた助動詞AUX
4トークン

形式名詞「ふう」 ​

指示連体詞に続く「ふうに」は、連体詞・形式名詞・助詞という文法単位に分割します。

入力そんなふうに
MeCab
そんなふうに副詞
1トークン
Suzume
そんな連体詞DETふう名詞NOUNに助詞PARTICLE
3トークン

不定の「か」 ​

疑問代名詞に付く不定の「か」は代名詞から分割し、その後の存在動詞「いる」は本動詞として扱います。

入力なにかいる
MeCab
なにかいる
2トークン
Suzume
なに代名詞PRONか助詞PARTICLEいる動詞VERB
3トークン